360°特殊光学系レンズシリーズ シングルカメラによる美しい画像vsマルチカメラシステム

Opto Engineering
Mr Luca Bonato. M.SC Physics.Product Manager
プロダクトマネージャー/ルカ・ボナト

本記事は産業開発機構株式会社が発行する映像情報インダストリアル9・10月号に特集記事として掲載された内容になります。本記事は著作権者である産業開発機構株式会社の許可のもとに掲載しています。

開発背景:独自技術と優位性

マシンビジョン市場からの最もポピュラーな要求の1つは、最小限の画像機材でより多くの標本を見ることであり、特に食品・飲料、機械、医療産業界では共通した要求となっている。これらのケースにおいて、マシンビジョンシステムは標本の多種多様な エリアを同時分析するために必要とされ、あるいは不規則に発生する不良を確認するために利用される。 これらの問題解決のための最初の伝統的な手法は多数のカメラを使用することであったが、このやり方では次の3つの欠点がある。

  • ・装置が場所をとり複雑な構造である:各レンズの適切な作動距離を考慮する必要があり、ケーブル、電源など複雑である。
  • ・カメラ数が多いと、それに伴う多様なキャリブレーションを要する。
  • ・据え付け費、維持費が高額である。

2番目の伝統手法はラインスキャン技術の利用だが、これもまた以下のように不都合な点がある。

  • ・被写体(ワーク)が立体形状物の場合、取り扱いが複雑である:ワークの全周方向の検査が必要な場合は、ワークをレンズの視野内で360°回転させるか、それが無理な場合はカメラを含むレンズをワークの周りを周回させねばならない。どちらにしてもワークを回転、またはカメラ&レンズを周回させる搬送装置が必要となり、そのスピードは当然速くないのでラインスキャンを使用したオンライン検査には適さない。

このような背景から、オプトエンジニアリング社 はこれらのアプリケーションに対応した特殊なレン ズ群 360°オプティクスシリーズを設計することを 決断した。

技術事例

到達手法はさまざまであるが、オプトエンジニアリング社360°シリーズのすべてのレンズは同一の結果をもたらす。つまりそれらにより、標本の内側あるいは外側の情報を含めた単一画像が得られる。その画像はPC、PCCD、PCHI、PCBPシリーズでは全体像を、TCCAGE、PCPW、PCMPシリーズでは角度ごとに分割されて提供される。直径は50ミリ以上の大きいものから、10ミリ以下の小さいものと、直径と高さのアスペクト比が異なるものをカバーする(図1〜7)。

図1 360°外観検査用ペリセントリックレンズ「PCシリーズ」
ワークから離れた状態で最大φ60×20mmDのワーク外周面とトップ画像を360°方向から1つのカメラで撮り込むことが可能なレンズ。
図2 360°内面検査用ホールインスペクションレンズ「PCHIシリーズ」
ワークから離れた状態で最大φ120×90mmDのワーク内側面と底面の画像を1つのカメラで撮り込むことが可能なレンズ。

アプリケーション事例

興味深いアプリケーション例としてエンジンリングの内側の表面検査がある。多くの自動車部品の中、エンジンリングは簡易に見えるが、とても重要なコンポーネンツである。ほんの小さな表面の不良でコンポーネントが効率的に働くことを妨げ、システム全体のライフタイムを短くする。また最悪の場合、初期不良勃発につながる。そのような重大なコンポーネンツの欠陥は、より早い段階で発見されるべきであり、特に品質向上・コスト削減を目指す製造工程ではなおさらである。マシンビジョンの基本的な役割はこのような分野で果たされるべきである。

図3 8面360°内外視野ポリビューレンズ「PCPWシリーズ」
内蔵された8面ミラーにより1つのワークの8面パノラマ画像を映し出す。
図4 4面360°内外視野TCゲージレンズ「TCCAGEシリーズ」
内蔵された4面ミラーにより1つのワークの360°画像を4面90°ずつのパノラマ画像で映し出す。

お客様の中で、異なるサイズのエンジンリングの表面欠陥を検知できる検査システムの設計依頼を受け、特に内側の表面に見られる欠陥検査を含む要求がある。たとえばリングの直径は約25mmから76mmの範囲で、高さは4mm から 20mm。このリングの外側または内側に200μm前後のひびなどの欠陥のある無しをワンカメラで検査したい、とか。内側表面検査でお客様はオプトエンジニアリング製PCHI023ホールインスペクション2/3インチカメラ用を選び、360°の内側をパーフェクトフォーカスの視界で得ている。82度以上という大角度と革新的な光学設計により、PCHI023は穴系10ミリから120ミリの幅広いレンジと実際相性がよく、シリンダ、コーン、穴、ボトル、ネジ山観察に適している。

図5 外観検査用カタディオプトリックレンズ「PCCDシリーズ」
ワークから離れた状態で最大φ25×17mmDのワーク外周面とトップ画像を360°方向から1つのカメラで撮り込む。ペレセン トリックレンズ PCシリーズに比べ軽量コンパクト設計。
図6 内面パノラマ視野ボロスコピックレンズ「PCBPシリーズ」
パイプなどに入れて最大内径φ100×53mmDのワーク内側面の画像を撮り込む。白色LED光源内臓で金属や樹脂などの加工部品や容器の内面検査に最適。
図7 6 面 360°内外視野マイクロポリビューレンズ「PCMPシリーズ」
内蔵されたミラーによりワークの正面画像と6面パノラマ画像を映し出す。金属や樹脂の加工部品や容器の内外面のキズ検査に最適。

技術ロードマップについて

今日の産業界は、簡易性、スピードそしてハイパフォーマンスの方向へ向かっている。オプトエンジニアリング社の360°製品群も同じ路線上にロードマップをとらえており、私たちは、シンプルがよりよい作業性を生むと、強く信じている。したがって、これら特殊なレンズ群の開発を追求し、お客様や市場のニーズにさらにマッチできるよう努力を続けていく。より小さな穴径に対応し、高解像レンズ、機械的寸法の多様性などにさらに挑戦していく。

図8 リング照明装置「LTRNOBHPシリーズ」

すでにいくつかの開発が進んでいる。よりパワフ ルなリング照明装置 LTRNOBHP シリーズ(図8)の創造からは360LIB Suitなど、今までなかったさまざまなものがそろい始め、皆様のアプリケーションに沿った、360°光学系の世界のベストソリューションを提供し続ける。